ソーシャル・イノベーション・スクールは、多くの企業から高い評価をいただき、サステナビリティと人材育成の分野で共に未来を切り拓くパートナーとしてご活用いただいています。本対談シリーズでは、社員派遣を通じて生まれた実践的な取り組みや気づきを企業の代表者から直接伺い、企業経営者や人材育成担当者の皆さまにとって参考になるポイントをお届けします。今回は、米倉 誠一郎学長が新日本サービス株式会社(本社:広島県広島市)代表取締役 砂原 八洲様にお話を伺いました。
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「もう一度、学び直したい」──建築会社社長が挑んだソーシャル・イノベーション

米倉学長(以下、米倉):
本日は、本学が広島校に分校を作って以来お世話になっている、新日本サービス 砂原八洲社長に来ていただきました。
実は、社長自ら2期連続で本学プログラムに参加いただきました。
まず、新日本サービスの事業内容を教えてください。
砂原社長(以下、砂原):
広島市内で建築屋をやっており、平成10年(1999年)に創業しました。
広島のありとあらゆる所に建築屋はありますので競争は激しいです。組織力も資金力もないなか、「大手ではできないことをやっていこう」という気持ちでやらしていただいています。現在は、建築屋といいながらリフォームや新築の宣伝ではなく、車や自動車部品の販売、車検の取得など取引先の宣伝や広告塔になりながら、さまざまな繋がりをもとに仕事をいただいています。
米倉:
本学を知ったきっかけを教えてください。
砂原:
取引先であるヤマネホールディングス株式会社の110周年記念講演に米倉学長が登壇されたことがきっかけでした。
2時間の講演に聞き入ってしまい、「また米倉先生の講演・講義があったら教えてください!」と山根社長にお伝えしたところ、「広島でソーシャル・イノベーション・スクールが開校しますよ」と教えていただきました。
米倉:
砂原さんは2期生として2020年秋に入学されましたが、続けて第3期も受講くださいましたね。

砂原:
元々ソーシャル・イノベーションやSDGsがなんなのかさっぱりわからない中で半年間学び、2期生の段階ではお客様、社員、周りの人にうまく説明ができませんでした。
これはもう1度学び直さなければいけないと思い、2期連続で受講しました。
あとは、1回目の卒業課題発表がうまくいかなかったことも再受講の理由のひとつです。広島大学の大学院生と卒業課題に取り組みましたが、学長に「メモ読みながら説明をするな!」とダメ出しされました。

米倉:
そうでしたね。2回目はいかがでしたか。
砂原:
2回目の卒業課題は、本日米倉学長に来ていただいた、広島県山県郡北広島町にある旧南方小学校再生プロジェクトです。同期である株式会社チヨダパックの本田社長やメンバーとともに、町おこしの要素を加えた提案をしました。
このプロジェクトは2021年に立ち上げ、当社が施工をサービスで行いながら、今年カフェをオープンさせました。今後は、地域食材を使ったフードロスに挑戦するパン屋やコワーキングスペース、アートカルチャーで使用できる空間の提供を目指しています。
“行かされる研修”から“変わる学び”へ──社員の変化を生んだ実践講義

米倉:
卒業課題発表が現実になりましたね!当校で学んだことは役に立ちましたか?
砂原:
これまでも社員含めさまざまな講演会や講義を受けながら、建築の勉強をしてきましが、行かされている感満載で、全く社員の身になっていないと感じました。
そんななか、私自身も2度この学校に通ったことで、社員教育にはSIS(ソーシャル・イノベーション・スクール)に通ってもらうことが一番学びの速度が早い、と感じています。
普段、建築屋として現場監督がお客さまに対して、パワーポイントを使ってプレゼンテーションをすることはないので、グループワーク(著名な企業の代表に対して行うプレゼンテーション)は、ものすごい苦痛だった思います。
でもそれがいい学びになったことを私自身が体感しています。だから、社員や知り合いの企業や代表にお勧めする時は、「続けられないと思った時は私が10万円支払います。だから、とりあえず騙されたと思って行ってください」と言い入学し、結果、みなさん卒業しています。
実際に、受講した社員は、新しい仕事に対してもまったく弱音を吐かなくなりました。また、人と喋るのが苦手と言っていた社員が、どんどん手を挙げて話すようになりました。
父から息子へ、社員から組織へ──広がる学びの連鎖

米倉:
SISの学びは本業に生かされていると感じますか。
砂原:
建築屋の社会課題は、実はたくさんあります。
我々の会社の倉庫に行けばゴミの山です。これをそのまま捨てればゴミですが、プラスチック、木材、紙、ビニールと分けたら、これらは資源になります。
これまでは混載し、お金を払って捨てていたとものを、今では分別しリサイクルに回すようになり会社の利益にもつなげています。
米倉:
息子さんにも受講いただきましたが、いかがでしたか。
砂原:
私がこの学校に行っていた際は、「社長は何をしにいったんや」と半信半疑で見ていたと思います。その後、本人も通うようになって、自分のやるべき課題や解決方法に気づいたと思います。また2枚目の名刺として、会社以外でのビジネスを考え出すなど、プラスに働いています。
米倉:
砂原さんだけでなく社員のみなさんや息子さんも真剣に受け取ってくださり、継続的に支援していただいていること、そして、それが少しでも役に立っていることが嬉しいです。
我々の学校は「1ミリでも社会をよくしよう」というメッセージを掲げています。放っておけば社会がどんどん後退する中を、1ミリでも前に進もうということです。広島で新日本サービスが少しずつ飛躍を遂げているというのは本当に嬉しい話です。
本日はありがとうございました。

【企業情報】
新日本サービス株式会社
Webサイト:https://sn-s.co.jp
「お客様の期待を超えるサービスを。」を掲げ、リフォーム・新築・店舗・テナント工事、太陽光発電などを手がける地域密着型の建築施工会社。住まいや暮らしに関わる多様なニーズに対応し、丁寧で信頼できるサービスを提供されています。