ソーシャル・イノベーション・スクールは、多くの企業から高い評価をいただき、サステナビリティと人材育成の分野で共に未来を切り拓くパートナーとしてご活用いただいています。本対談シリーズでは、社員派遣を通じて生まれた実践的な取り組みや気づきを企業の代表者から直接伺い、企業経営者や人材育成担当者の皆さまにとって参考になるポイントをお届けします。今回は、米倉 誠一郎学長が株式会社三好不動産(本社:福岡県福岡市)経営本部 部長の中島 種敏様にお話を伺いました。
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不安を抱える家族を支えるために生まれた賃貸管理事業

米倉学長(以下、米倉):
本日は、私たちが福岡に分校を開いた頃から、長くご支援をいただいている株式会社三好不動産 経営本部 部長の中島種敏さんにお話を伺います。
最初に三好修 代表取締役にお会いしたとき、「いいことだ、応援しましょう」と二つ返事でおっしゃってくださったのがとても印象的でした。それ以来、社員の方をSISに送り出してくださったり、最近では中島さんがかつて手がけられていた株式会社FORWORKS(三好不動産グループ)のスペースをお借りして、SISの講義を開催させていただいたりと、本当にさまざまな形でお世話になっています。
三好不動産さんは、なぜこれほどまでに社会貢献の取り組みに力を入れていらっしゃるのでしょうか。

中島部長(以下、中島):
75年前、福岡の唐人町(とうじんまち)という場所は漁港で、遠洋漁業の港町でした。遠洋漁業に出ると、半年や1年ほど帰って来られません。
残されたご家族は、ご主人が無事に帰って来られるのか分からないという不安の中で暮らしていました。そうした状況の中で、どうすれば安心して生活できるのかを考えたことが、三好不動産の始まりだと聞いています。
そこで先代が、「それならアパートを建てて、家賃収入を得られるようにし、その管理は三好不動産が行いましょう」と提案したことが、現在の事業のスタートでした。
米倉:
なるほど。そもそもが社会貢献から始まっていたのですね。
中島:
世の中の「困ったな」をどう解決するか、というところから賃貸管理の事業が始まりました。
そして、管理手数料をいただいてビジネスとして成立させる仕組みを作ったのは、三好不動産が全国に先駆けて行ったと聞いています。

米倉:
まさに「ソーシャル・ビジネス」の先駆けですね。現在は、外国籍の方やLGBTの方など、入居が難しいと言われる方々に対しても、率先して支援されています。
中島:
外国籍の方については、10数年前から取り組んでいます。単に住む場所を提供するだけでなく、外国籍の社員も雇用し、お客様の生活全般をサポートする体制を整えてきました。
米倉:
素晴らしい取り組みですね。SISの受講も、そうした御社の「社会貢献と地域密着、そして本業のビジネスを両立させる」という姿勢に、まさに重なるものだったわけですね。
中島:
そうですね。私たちの取り組みをさらに広げていくきっかけになりました。
SISの学びから生まれたブルーベリー農園プロジェクト

米倉:
これまでSISを受講した三好不動産社員の方々が、卒業課題として提案した取り組みが、実際のプロジェクトとして動き出していますね。直近の例では「ブルーベリー農園の立ち上げ」がありますが、これはどのような経緯で始まったのでしょうか。
中島:
これは、三好不動産グループ会社の株式会社FORWORKSで事業本部共創推進室長を務める村田弥教(SIS第9期生)が、SISを受講した際、卒業課題として提案した取り組みです。
実は受講前から、彼は「ブルーベリー農園をやりたい」と言っていました。SISでの学びを通じて、そのアイデアが社会課題の解決にもつながるビジネスモデルとして整理されていきました。
農園には土地が必要ですが、現代の課題である「耕作放棄地」を活用して農園にすることができます。また、私たちの本業は事務受託などで目を酷使する仕事が多いため、目に良いとされるブルーベリーは自社にとっても意味があります。
さらに、高齢者や障がいのある方々に農園の仕事を手伝っていただくことで、雇用の創出にもつながります。
米倉:
会社としてどうバックアップしたのですか?
中島:
当初はビジネス化という点で会社も半信半疑でした。しかし村田がSISの卒業課題として提出されたと聞き、再度内容を吟味して、いけるんじゃないかと会社の取り組みとして認められました。やりたいという社員の背中を押し、資金繰りを整え、そして一緒に汗をかくことが私の役割だと思いサポートを続けています。
2025年3月に土地を借りるところからスタートし、わずか3か月で苗を植えるところまで進みました。
ブルーベリー農園「ベリーズパーク名子」(福岡市東区)は、2027年夏の開業を目指して準備を進めています。

米倉:
(写真を見ながら)これが耕作放棄地のビフォー・アフターですね。
通常、管理職はリスクを考えて止めてしまいがちですが、社員の意見を吸い上げてバックアップし、一緒に汗をかく。素晴らしい取り組みです。
このプロジェクトはメディアにも取り上げられました。
□ 村田さんのインタビューも掲載されている取材記事(マイナビ農業)
https://agri.mynavi.jp/2025_11_27_414371/
耕作放棄地は日本全体の課題でもあります。これが成功すれば、さまざまな地域に広がる可能性があります。「三好メソッド」として普及するといいですね。
社会貢献と本業のビジネスを両立させる

米倉:
SIS第5期生の樋口朋晃さん(株式会社三好不動産 社長室室長/一般社団法人アースプロジェクト福岡 代表理事)の取り組みですが、最近はどのような形で発展しているのでしょうか。
中島:
三好不動産が主催する学生ボランティアの支援団体「アースプロジェクト福岡」として、福岡の学生を中心に活動しています。主な活動は、災害被災地の復旧・復興支援、環境保全活動、こども食堂支援などで、これらを通じて地域社会や社会全体に貢献することを目指しています。コロナ禍で活動ができない状況が続いていましたが、約5,000名のボランティアが登録しており(2026年4月時点)、毎回多くの学生が参加してくれています。
米倉:
素晴らしいのは、これを一過性のものにせず、会社として人的資源を投じて継続的に支援されている点です。社会のために活動を続ける姿勢は、本当にありがたいことだと感じています。
最近では、地域ヒーローを巻き込んだユニークな活動もされているそうですね。
中島:
福岡各地にいたローカルヒーローたちを集結させ、いわば「アベンジャーズ」のようなチームとして「ドゲンジャーズ」の活動のお手伝いをしました。
現在は同じく関連団体の「日本未来創造公益資本財団」を通じて、このヒーローたちが病気と闘う子どもたちを訪問し、勇気を届ける活動を行っています。
また、ヒーローの派遣だけでなく、財団に寄せられた寄付金を活用し、生活に困っている方々へ食材を届けるなどの困窮者支援も並行して行っています。
この取り組みも、樋口が最初に始めたものです。
□ 病気で入院する子どもたちへヒーローからクリスマスプレゼントを届けた活動レポート
https://congrant.com/project/jafpicjafpic/17940/reports/10834
□ ひとり親家庭への食支援の活動の様子
https://jafpic.com/2026/01/09/activity_dogengers/
米倉:
実際に地元のテレビでも放送されましたが、子どもたちの笑顔がとても印象的でした。

中島:
2026年1月末には北九州の大学病院の小児病棟を訪れ、子どもたちに元気を届ける活動を行いました。病院の先生から「ぜひ来てほしい」と依頼をいただき、実現したものです。
米倉:
長期入院している子どもやそのご家族にとって、ヒーローの訪問は大きな励みになりますね。
中島:
そうですね。看護師さんや親御さんにも喜んでいただけました。

米倉:
業績を伸ばすことと社会貢献は、かつては対極にあるものと思われていましたが、今はまさに「車の両輪」ですね。
中島:
本当にそう思います。
米倉:
SISでの学びが、実際の取り組みとして形になっていることを大変嬉しく思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。

【企業情報】
株式会社三好不動産
Webサイト:https://www.miyoshi.co.jp
1951年創業。福岡市を中心に約4万5千戸(2025年10月時点)の賃貸物件を管理する総合不動産コンサルティング企業として、不動産管理や賃貸仲介、売買仲介など幅広い事業を展開しています。外国籍の方の住まい探しを支援する多言語対応や、住まい探しにお苦りの方への住宅斡旋など、誰もが安心して暮らせる住環境づくりにも取り組んでいます。
同社所属 SIS卒業生 樋口朋晃さんほか4名の活動実例: https://web.cr-sis.com/case/vol5/
株式会社FORWORKS
Webサイト:https://forworks.co.jp/
(株)三好不動産のグループ会社として、賃貸管理業界に向けたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供。地場の中小企業のみならず、全国の賃貸管理会社を対象に事業を展開しています。
近年では、耕作放棄地を活用した地域活性化プロジェクトを立ち上げ、ブルーベリー農園「ベリーズパーク名子」(福岡市東区)の2027年夏開業を目指し、プロジェクトを推進しています。
ベリーズパーク名子のスタッフInstagramはこちら:https://www.instagram.com/berrys_park_nago/
同社所属 SIS卒業生 村田弥教さん取材記事: https://agri.mynavi.jp/2025_11_27_414371/