ソーシャル・イノベーション・スクールは、多くの企業から高い評価をいただき、サステナビリティと人材育成の分野で共に未来を切り拓くパートナーとしてご活用いただいています。本シリーズでは、社員派遣を通じて生まれた実践的な取り組みや気づきを企業の代表者から直接伺い、企業経営者や人材育成担当者の皆さまにとって参考になるポイントをお届けします。
今回は、米倉 誠一郎学長が阪急阪神不動産株式会社(本社:大阪府大阪市)執行役員/開発事業本部 副本部長(都市マネジメント事業担当)の谷口 丹彦様、阪急阪神ホールディングス株式会社(本社:大阪府大阪市)グループ経営企画室 サステナビリティ推進部長の相良 有希子様にお話を伺いました。
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「つくっては壊す」から「持続可能な街づくり」へ ― 不動産業が描く新しいSDGsのかたち

米倉学長(以下、米倉):
本日は、長年にわたり本校を支援してくださっている阪急阪神ホールディングスグループ(以下、阪急阪神グループ)のお二人にお話を伺います。
お越しいただいたのは、阪急阪神不動産株式会社 執行役員/開発事業本部 副本部長(都市マネジメント事業担当)の谷口 丹彦様、そして阪急阪神ホールディングス株式会社 グループ経営企画室 サステナビリティ推進部長の相良 有希子様です。
まずは、阪急阪神グループがどのような形で、グローバルな視点での経営や持続可能な取り組み(SDGsや人材育成など)について、お話を伺いたいと思います。
昨今の異常な暑さや大雨、大洪水などを見ると、明らかに地球は悲鳴を上げていると感じます。そんな中で「日本は何ができるのか」と考えたとき、残念ながら日本の政府には、もう十分な財源がありません。
最近よくお話しするたとえですが──たとえば家計に100万円の予算があるとします。お父さんが「今月は100万円で暮らす」と言うと、子どもは「すごいね!」と喜びます。ところが「収入は?」と聞くと、「50万円だ」と答える。これがいまの日本なんです。税収は予算の半分しかない。
「じゃあ残りはどうするの?」と聞けば、「借金だ」となる。子どもでも「それはまずい」と思いますよね。実際、100万円のうち37万円が社会保障費──つまり医療などに使われています。そしてさらに22万円が過去の借金の返済。これでもう約60万円になります。
その上、東京や大阪のような大都市への一極・二極集中の影響で、地方の税収は減り、地方交付税で補填する構造になっています。だからこそ、これからの日本を考えるうえで「分散化」は本当に必要だと感じます。
そうした状況のなかで、インフラに使えるお金は5万2,000円、教育費──つまり未来にかける予算はわずか4万7,000円しかありません。これが日本の現実です。
そこで私たちは考えました。どうすれば社会の問題を解決できるのか。その答えは、民間やNPOが主体的に取り組むことだろう、と。そこから「ソーシャル・イノベーション」というキーワードが生まれました。社会課題をイノベーションで解決しよう。そして、それを学び、共有する場として立ち上げたのが、このソーシャル・イノベーション・スクールです。
阪急阪神グループには、実際に多くの人材を送り出していただいています。
まず谷口さんにお聞きしたいのは、こうした状況の中で、大阪・関西万博も開催された今、これまで日本は「つくっては壊す」を繰り返してきました。
しかし、今やそのやり方では立ち行かなくなっている。そうした現実を踏まえ、不動産業に携わる立場として、これからのSDGsをどのようにお考えでしょうか。
個人的な視点でかまいませんので、お聞かせいただければと思います。
地方再生が世界を変える ― 人口爆発時代に問われる日本の知恵と技術

阪急阪神不動産株式会社 谷口執行役員(以下、谷口):
今は都市への人口集中が進み、都市では多様なプレイヤーが集まることで機能が強化され、便利になっています。その結果として、私たちの社会生活も豊かになりました。
一方で、その豊かさを支える基盤がどんどん弱ってきているのが現状です。これは、先ほどお話のあったように「地方の疲弊」と言われる部分であり、私たち大都市圏のデベロッパーとしても、今後解決していくべき大きな社会課題だと認識しています。
そうした中で、先日「地域再生甲子園2025」というイベントを開催しました。これは、地方で地域資源や人材を活かしながら社会課題の解決に取り組む地域を招き、各地のイノベーション事例を共有し合う学びの場として実施したものです。
アメリカでも「メインストリート・アメリカ(Main Street America)※」という団体があり、全米で約1,200の地域団体がその傘下で地域創生に取り組んでいます。
※1977年に開始されたダウンタウン再生プログラム「メインストリートプログラム」を推進するネットワークの総称で、地域主導で個々の歴史・文化を尊重した中心市街地再生を推進。2000以上の地域において、1000億ドルの投資、30万件の建築物改修、80万件の雇用創出等の実績を持ち、40年経った今でもなお米国各地でその手法が取り入れられている。(引用元:地域再生甲子園2025イベントページ)
米倉:
これはもう世界的な問題です。これから“都市爆発”が起こり、現在30〜40億人ほどの都市人口が、今後は70億人に達すると言われています。
日本は上下水道や都市開発の分野で、非常に優れた仕組みを蓄積してきたと思うんです。ですから、今の谷口さんのお話にもあったように、地方の再生ももちろん重要ですが、同時にこうしたノウハウを世界に展開していくことも大きな可能性があるのではないかと感じています。
たとえば、アフリカなどで人口爆発が起きたとき、日本でいう「団地」のような集合住宅の仕組みがなければ、とても対応できないと思うんです。
これまで日本の団地は「うさぎ小屋」と揶揄されることもありましたが、もし安藤 忠雄さんや隈 研吾さんのような建築家がデザインすれば、全く新しい価値を生み出せます。さらに、日本の施工技術を活かせば、ユニットバスやユニットキッチンのような住宅設備は、世界で十分に通用する輸出産業になり得ると思うんです。
谷口:
私たちが初めて大阪万博を経験した時の人口は36億人でした。それが気がついたらもう100億人です。地球上で最も消費する生き物になっており、人間は頂点にいます。捕食者がいない状況で考えると、サステナブルに人類が生きていくにはどれだけの食料を確保する必要があるのかという問題が出てきます。さらに、その前に日本国内の状況はどうなっているのかという課題もあります。
米倉:
今回の総裁選でも「日本の農業をどうするのか」と議論されていますが、私は日本の農業には国際競争力があると思っています。国内で変な方策が取られているために力を発揮できていませんが、あれだけ生産性の高い農業をアフリカやインドに展開すれば、大きな価値を生み出せます。
つまり、視点を国内だけ、内向きだけにとどめず、広げていくことが重要です。その意味で、阪急阪神不動産は都市のデベロッパーとしてだけでなく、地方の方々にも呼びかけて「地域再生甲子園」を開催しています。具体的には、どのような形でサポートしているのですか?
地方に眠る知恵を可視化せよ──デジタルがつなぐ都市と地域の共創モデル

谷口:
地域再生甲子園では、地方の方々が年に一度集結することで、お互いの知見を共有できます。さらに、大阪のような大都市で開催することで、都市圏の持つスキルや考え方も共有され、その結果として都市と地方の循環経済をよりしっかりと回していけるよう、役割分担が整います。
都市には多くの知見が集まるため、イノベーションの種(シード)が豊富にあります。最近ではデジタル化により、さまざまなデータを蓄積・解析して汎用化する技術も進んでいます。一方で地方には、言葉にも文字にもならない、暗黙のノウハウやスキルが存在しています。
米倉:
暗黙知ですね。
谷口:
そうです。代々引き継がれてきた知恵です。同じ農業でも、この地域の水や山の条件に合わせた稲作の方法があります。それぞれの地域の歴史や風土に根ざした技術であり、地元の人々にとっては当たり前のことですが、実は非常に価値のあるノウハウです。
都会側は、そうした暗黙知を分析・可視化することで、ノウハウを再現したりする技術を開発できます。そして、さらに改善することも可能です。都市と地方の知恵を組み合わせることで、より良い成果を生み出せるのです。
米倉:
面白い取り組みですね。今おっしゃったように、分析やデジタル化を通じて、誰もが使える形にすることが重要です。
少し話は飛びますが、私の学生の中には、バングラデシュで農業生産性を上げたいという人がいます。バングラデシュでは文盲率が高く、文字を読めない農民も多いんです。そういう状況では、最も役に立つのはビデオです。
例えば、「こういうふうに種を植えなさい」「こういうふうに稲を作りなさい」と映像で示すことで、地方の暗黙知や点在するナレッジを形式知として伝えることができます。都市側が持つ技術で、それを映像化して共有することは非常に重要な役割だと思います。
谷口:
そうですね。さらに、地方では少子化や高齢化が進む中で、コミュニティが希薄になりつつあります。その中で、人々がより健康に生きていくには、従来の訪問看護だけでなく、民生委員的なサポートも含めた包括的なサービスが必要です。
例えば、島根県雲南市では「コミュニティナーシング」という取り組みがあります。これは病院内での看護ではなく、地域での暮らしを支える本来のナーシングを行う試みです。その中では、地域を訪問しながらサービスを提供するためにITツールが欠かせません。
面白いのは、こうしたITツールは都会側が提供し、さらに病院での看護技術を持つ方も関わりながら、現場の支援に参加していることです。この仕組みを他の地域も学び、応用できるような大学的な学びの場も生まれています。
米倉:
これまで大阪や東京から情報発信していたものが、こうして地域に伝わると、横のつながりも生まれます。地域の活性化にもつながりますし、先ほどお話ししたように、医療費も非常に高く、我々の支出の40%を占めています。こうした分野でも、言い換えればイノベーションの余地は大きく、コスト削減によって財政構造の改善にもつながると思います。
さて、相良さんはサステナビリティ推進本部の部長として、阪急阪神グループのサステナビリティについて、どのような形で取り組みや表現をされているのでしょうか?
サステナビリティを事業の中核に──人・街・環境をつなぐ阪急阪神グループの実践

阪急阪神ホールディングス株式会社 相良サステナビリティ推進部長(以下、相良):
阪急阪神グループは2020年に「サステナビリティ宣言」を発表しています。
これまで100年以上、地域とともに歩んできた企業として、これからも地域の一人一人が関わる場で、サステナブルな取り組みを進めていくという決意のもと作られたものです。
重点領域として6つを掲げています。
- 安全・安心の追求
- 豊かなまちづくり
- 未来へつながる暮らしの提案
- 一人ひとりの活躍
- 環境保全の推進
- ガバナンスの充実
「安全・安心の追求」は鉄道を中心に、不動産やエンターテインメントで発展してきた、最も重要なテーマです。
「豊かなまちづくり」は、鉄道とともに街を発展させてきた中で、地域がいかにサステナブルになるかに注目した取り組みです。
「未来につながる暮らしの提案」は、米倉先生がお話しくださったようなイノベーションにつながる新しいライフスタイルを提供していく取り組みです。
「一人ひとりの活躍」では、従業員の働きがいや健康、ダイバーシティに加え、地域の次世代育成にも注力しています。社会貢献の一環として、2009年からは「未来のゆめ・まちプロジェクト」として、子どもたちの育成にも取り組んでいます。
環境分野では、鉄道は元々CO2排出が少ない移動手段ですが、2025年4月には阪急・阪神全線において、駅に導入されている太陽光発電やエコな電力の供給によって、CO2排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルを達成しました。不動産関連では、再生可能エネルギーの活用を進めています。また、2024年9月にプレオープンしたグラングリーン大阪 ※では、うめきた公園(4.5ヘクタール)を中心に緑地やイノベーション拠点を整備し、地域発展に貢献しています。
このように、サステナビリティは阪急阪神グループの事業の基盤と考えています。
※関西を代表する商業都市・梅田にあり、阪神甲子園球場の約2.5倍の敷地面積を持ちます。敷地の半分は公園として利用され、緑豊かな空間を提供しています。

米倉:
今までは環境って、事業のコストとして捉えられていました。でも今は、環境の解決そのものがビジネスになってきています。まさにそういう時代のど真ん中で取り組まれているのですね。
特に鉄道はCO2削減の面で重要です。一時期、モーダルシフトという考え方もありました。地方から来る人は大きなパーキングに車を止め、鉄道で移動する、といった流れです。これまで我々は「車か鉄道か」の二者択一の発想でしたが、自転車も含め、いろいろな組み合わせで移動できるモビリティの世界があるのだろうと思います。
相良:
おっしゃる通りです。鉄道を軸に、バスやタクシー、レンタサイクルも早くから取り組んできました。ただ、ご高齢の方や事情によっては、自動車と公共交通を組み合わせる「フィーダー輸送」を活用しないと、街づくりは成立しません。
米倉:
そうですね。我が国は何しろ高齢化が深刻です。そういう意味で、次世代育成や、環境や地域への意識を持った人材の育成は非常に重要だと思います。私たちの学校でも力を入れていますが、阪急阪神グループでは、次世代の人材育成や社員のマインドセットをどのように変えていくと考えていますか?
内側から湧き出るパッションをかたちに──アート思考が導くこれからのまちづくり

谷口:
会社として言っているかは別として、私自身が担当している部門、特にまちづくりの現場で伝えているのは、これからAIが仕事の中にどんどん入ってくるということです。答え探しはAIがやることになるので、私たちは逆に、答えではないものを思いつき、それを正しい答えに変えていく力を大事にしていく必要があります。
昔から「1を聞いて10を知る」という言葉がありますが、これまでの「1を聞いて10を知る」とは、1を聞けば残りの9ステップや9ピースが見えるという経験と知見に基づく賢い人の勝ちパターンでした。しかし今後は、1を聞いたら10の可能性を思いつくことが重要になります。この考え方は、デザイン思考からアート思考に近いものだと思います。
デザインには目的があります。提供したいものがあり、その中でどうデザインするかを考えます。ビジネスに生きる私たちも、利益を上げるためのプログラムや仕組みをデザインしています。しかし、この部分も今後はAIが担い始めるので、もっと別のアプローチが必要になります。
米倉:
今は共感も重要です。「推し」という言葉で表現されますが、思い入れがなければ物事は進みません。経済でも同じで、私たちの言う社会課題の解決も、人間にしかできない部分です。現在、日本は貧富の差が広がり、地方の過疎化も深刻です。共感を持って、政府の補助金に頼らずビジネスで解決していくことこそ、人間にしかできないことです。
谷口:
逆に言うと、アート的なものは内側から外に向けたエネルギーやパッションです。デザインは、どちらかというと人々の中に潜在するものを、公約数的にまとめていく作業です。しかし、パッションからスタートして、それをどれだけ共有できるかが重要で、そのためには共有のためのデザインやスキルも必要だと思います。
米倉:
これまで私たちは最大公約数的なものばかりを追求してきましたが、それだと個性や差異を生かせないままでした。まちづくりも同じですね。
谷口:
まちづくりで今一番大事にしているのは、多様性と包摂です。さまざまな人が集まることで面白さが生まれます。この街に集まる人たちは、用意されたものに参加するだけでなく、自分が実現したいものを持ってやってきます。その内側から外に出てくるものを受け止める仕組みが必要です。それが、多様性を確保するために欠かせない仕組みだと考えています。

米倉:
昔、ジェイン・ジェイコブスという都市研究家が「都市は迷うくらいがいい」「複雑な方がいい」と言っていたんです。最初は何を言っているんだろうと思いましたが、今は本当にその通りだと感じます。
ただ、今の都市のいいところは、そうした複雑さを支えるインフラ技術がしっかりしていることです。安全性やCO2を出さない仕組みも整ってきている。だからこそ、これからはアート的な、人間のパッションの部分とデジタルがうまく融合していけば、かなり大きな可能性がある。そういう人材を育てたいですね。
もう、私たちが「教える」時代ではないかもしれません。学生たちは私が知らないことでも、GoogleやChatGPTに聞けば一瞬で答えを出してくれます。論文だって、私たちが書くよりずっと上手い。じゃあ、人間は何をすべきか、そこが問われていますよね。
谷口:
そうなると、改めてリベラルアーツの重要性を感じます。技術は学べば身につきますが、リベラルアーツ――つまり哲学や人文、文学といったものは、考え方の基礎体力になります。
米倉:
最近ようやく「リベラルアーツ」の重要性を言い始めました。リベラルアーツとは「人間を自由にする学問」。一見、無駄に見えるようなことも、実はとても大切なんです。
私自身、本をたくさん読みますが、体系的には覚えられない。でも、乱読でいいんですよね。ある人が言っていました、「瓶の中にどれだけ多くのものが入っているかが大事だ」と。その瓶に水を注ぐと、すぐに何かが浮かび上がる――それが感性なんです。
だから、映画でも読書でも絵画でも、雑学でも、無駄に思えることをたくさん取り込むと、感性が磨かれ、アンテナが立つんですよね。
僕がちょっと気に入らないのは、最近の「リベラルアーツ」と言っている人たちが、意外に権威主義なところです。「これを知らなきゃダメ」「この古典を読まなきゃダメ」とか。そもそも、何のためにリベラルアーツを学んでいるのか、という本質を見失っている人もいるんですよね。
さて、相良さん、今の話でインクルージョンの重要性が出てきましたが、特に嬉しいのは、女性の活躍です。実は日本は、学校の段階では女性にかなり投資している国です。しかも成績がいいのは女子が多い。でも社会に出てから、その力が十分に活かされていない。これは大きな損失です。
僕は以前、小室 淑恵さんと、「ワーク・ライフ・バランス」をテーマに対談したことがあるんです。「そんなこと言ってるから日本はダメになる」と息巻いて話したら、こてんぱんに論破されました。確かに、20世紀的、昭和的な考え方のままでは、有能な人材をうまく活かせない。その結果、社会として失っているものが多いんですよね。
その点、阪急阪神グループでは、女性活躍に関してどのような取り組みをされているのでしょうか?
人を大切にする文化が、サステナビリティを動かす

相良:
我々もグループとして、女性管理職比率の目標を掲げています。ただ、もともと鉄道・インフラ系の会社ですので、社員自体の女性比率は少なめです。そこで、管理職比率だけでなく、新規採用者に占める女性の比率も継続的に3割以上を目指しています。実際、グループ全体では採用者の約4割が女性です。
さらに、社内で議論する際に大事なのは、女性が頑張るだけではなく、グループ全体として、一人一人の活躍を支えることです。男性の育休取得や障がい者雇用なども含め、多様な人材との出会いの中でイノベーションが生まれると考え、「一人一人の活躍」という言葉をあえて使っています。
米倉:
確かに、適材適所というのはまさにそういうことですよね。要は、その人に合った仕事をどうデザインするか。以前は9時5時で勤怠管理が中心でしたが、今は週3日勤務なども可能になっています。
小室さんに教わって驚いたのは、人手不足ではないということです。今は戦後最大の「人余り」の状態なんです。ただし、24時間365日働ける人や、明日大阪や名古屋に転勤できる人は足りません。逆に、週3日働きたい人、10時~15時まで子どもが帰るまで働きたい人、高齢者など、さまざまな人材はたくさんいます。それを昔ながらの雇用システムでしか扱おうとしないから「足りない、足りない」となるわけです。
谷口:
今後の技術的な側面を少し比喩的に言うと、これからのWeb3.0時代ってそんな感じなんですよね。Web3.0になると、いろんなブロックチェーン技術によって、インターネット自体はかなり分散しましたが、さらにデータの在り処も分散していきますし、計算やCPU機能も分散していきます。
今の10年くらいはAIのために大量のデータセンターを作る必要がありますが、将来的には自動車のバッテリーやCPUの一部機能を活用して、世界中の何万台、何百万台という自動車の余剰能力を組み合わせて全体的に使うことも可能になります。そうすると、集中型のデータセンターは必要なくなるかもしれません。
米倉:
本当ですね。グリッドコンピューターの基本で昔から言われていたことが、実際に間近に出てきているわけです。だからこそ、今変えなければいけないのは、我々の凝り固まった考え方です。それに対して、新しい技術だけでなく、世界観そのものも必要です。
ぜひ良い人材を育てたいと思いますし、お送りいただければ我が校も微力ながらお手伝いします。でも、阪急阪神さんは楽しそうに働いてますね。
谷口:
はい。皆さん、楽しんでくれています。
相良:
本当にいい会社だと思います。地域に根ざしつつ世界まで展開していますが、人を大事にする会社です。サステナビリティ宣言を策定する際も、経営層と何度も議論しながら進めましたが、その中で、経営層から「従業員満足度を非財務のKPIとして絶対に設定してほしい」と指示がありました。当時はまだ人的資本経営の概念は浸透していませんでしたが、従業員満足度調査の対象範囲をグループ全社に広げ、従業員の満足度を全事業の起点としています。福利厚生だけでなく、働きがいや社会課題解決への使命感を達成できるマインドが、会社の中に根付いていると思います。
米倉:
今後もさまざまな面で協力させていただければと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

【企業情報】
阪急阪神不動産株式会社
Webサイト:https://www.hhp.co.jp/
『住まいと都市の価値の創造』をテーマに、阪急・阪神沿線や大阪梅田エリアでの都市開発事業、住宅事業等を展開している総合デベロッパー。近年は首都圏エリアや海外(アジアを中心に、オーストラリア、アメリカなど)にも事業を拡大。 また2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、人にも環境にも配慮した住まいづくりを推進しています。
阪急阪神不動産のサステナビリティについて:https://www.hhp.co.jp/sustainability/
阪急阪神ホールディングス株式会社
Webサイト:https://www.hankyu-hanshin.co.jp/
「安心・快適、そして夢・感動をお届けすることで、お客様の喜びを実現し、社会に貢献します」というグループ経営理念を掲げ、都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開。
鉄道事業を基盤に、住宅や商業施設の開発から、阪神タイガースや宝塚歌劇など魅力あふれるエンタテインメントの提供まで、多岐にわたるサービスを生み出し、沿線を中心とした良質なまちづくりに貢献。100年以上にわたり、社会に数々の足跡を残しています。
阪急阪神ホールディングスサステナビリティの宣言(基本方針・重要テーマ)について:https://www.hankyu-hanshin.co.jp/sustainability/materiality/